初瀬明生と小説とKDPと

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どうしたら本が売れるのか(斬新な設定の危険な罠&影牢的思考)

斬新なだけの設定なんて誰でも思いつく。それが面白いかが重要
 
 
最初に結論を言ってみた。
 
このタイトルを別にシリーズ化するつもりはありませんが、気になるごとにぽつぽつと呟いていきます。
 
それよりも上の大きい字。めちゃくちゃ当たり前のことなんですが、前に気になる文言を見つけましてね。
 
「創作家なら誰でも100個くらいアイデアは思いつく」
 
……うーんそうだよね。自分はよく発想が飛躍しているな、なんて自惚れてしまっていましたが、エンタメ系の小説を書く人なんて、そんな事を容易く出来る人が集まっているに決まっている。
 
 
今回のお話は、この斬新という部分に触れたもの。
「これは斬新だ!」なんてアイディアを思いついて、意気込んで書いてみてはいいものの、あれ? これって面白いの? っていうパターンは自分でもあります。
商業の漫画でも小説でも、テンプレというものは存在します(今流行の異世界転生とか)。似たような話ばっかりだなあ。三幕構成とか起承転結くらいならいいんだけども、話の内容まで一貫されるとさあ…なんて思っても、割と安心感はありますよね。実際に面白いものもありますし、ちゃんと差別化して売っているものもあります。
逆に言えば、テンプレから外れて読者に面白いと思わせるのがいかに難しいか。
 
 
 
今回はちょっと自分も思うところがありまして。というのも、今までいかに読者をだますか、いかに斬新な設定で呼び込むかしか考えていなかったんじゃないか。そんな独りよがりな思考が行きすぎてないか……と、反省をするために今回の記事を書きました。
 
 
 
斬新な設定って、いわゆる外観や入口のことだと思うんですよ。たとえていうならアトラクションの建物。事前の宣伝や看板、外観を見てお客さんは入ってくれます。普通のアトラクションなら、基本お客は入口から最後まで回るはずです。お金を払っているのだから。
しかし小説というアトラクションは、途中にいくつもの脱出口があります。途中の通路、部屋に無数にあります。つまらなかったらそこから抜け出せばいいし、最悪の場合、入口に入って「あっ、求めてるのと違う」と思われ踵を返されるパターンもある。特に小説はそうさせやすい傾向があります。
 
いくつか帰られる(読まれない)パターンを挙げたいと思います。
 
1.ただ斬新なだけで面白くない。
2.おもてたんと違う! と思われ途中で帰られる。
3.この部屋までくれば……この部屋までくれば面白いのに……と、途中のお話をおざなりにしてしまう。
4.設定も何もかもつまらない。
 
4は救いようがありませんので語りません。1は単純に入口だけ豪勢にしちゃったやつ。青いカレーとか味噌抹茶ミルクラーメンとかと似たようなやつ。最初はいいけど、あとはいいやってなるパターン。
 
2は1と似ていますが、カテゴリーエラーも含まれると思います。推理ものだと思ったら全然推理ものじゃないじゃないか! というもの。これは結構気をつけるべき場所。
 
3は……自分もよく陥りがちなパターンですね。これは何より、読者の事を考えてないに尽きると思います。通路は適当に繋げただけになってて違和感がある。読んでて苦痛。ただその部屋に導きたいだけの都合のよすぎる展開(特にキャラが操り人形化してヤバい状態)
途中の通路もちゃんと考えないとダメですよね。
 
 
そして、今回の話の核となる1(おまけに2)についてさらに言及。
 
たまに小説や漫画やアニメでも、この話は斬新だ面白い! これからも読み続けよう。と、なったことは一度や二度ではありません。みなさまもいくつかあるはず。ここでよく注意をしましょう。
 
斬新=面白い
 
果たしてこの図式は成り立つか。
 
否!
 
斬新≠面白いなんだ!
 
違うんだ! 斬新だから読みたいんじゃない! 斬新で面白いから読みたいんだ!
 
斬新だから面白いと勘違いをしてしまいがちですが、斬新かつ面白いから面白いんです。何を当たり前の事を言ってるんだと思いがちですが、なぜか前者と錯覚してしまいがちなので、念のためです。
 
 
1番最強なのは、斬新で面白いものなんですが、なかなか現実は厳しいです。
まあ選ぶべきは以下ですね。
 
1入口の斬新さと後の話で勝負していく。
2テンプレで面白いものを作っていく。
3テンプレで進んでいき、途中で裏切る。
 
2が悪いわけでは決してありません。
 
斬新というのは、裏切るにも繋がっていくかと思います。裏切り方を正しく使えば、それも斬新です。無論裏切り方にも作法がありまして、前述した、推理ものだと思わせて推理ものじゃないとかは最悪の裏切り方です。カテエラはできるだけ避けましょう。いや、絶対に避けましょう。
 
 
この三つに総じて通じるのは、入口と通路、部屋、出口をきちんと作ろうということになります。入口で徹底的に耳目を惹くもよし、入口はよくあるパターンで入らせて、後の部屋で正しく裏切り、面白いと思わせるのもよしです。建物やアトラクションは全部が作品です。途中の部屋、自分が1番見せたい場所だけが全てではありません。全部繋がっているのです。なら全部に手を掛け、1番いいところを強調させるのが創作家として当然の配慮であります。
 
 
抽象的過ぎてわかんないよという人は、もうあれです。さっき思いつきました。
 
影牢というゲームをご存じでしょうか?(刻命館や勇なま、悪代官でもいいよ)
侵入者を水で押し流したり、落とし穴に落としたり、転がる岩や動く壁で圧殺したりと、さまざまな罠を用いて倒すゲームです。(主人公の攻撃手段は一切なし)
侵入者の移動する場所は大体決まっており、それをおびき寄せたり、事前に通る場所を全部予測して罠を張り巡らさないと倒せない構図となっています。ど派手な罠を一発置いて、なんて単純なものはありません。罠を効果的に配置して、最後までやりきれば侵入者を倒すことができます。
 
もうここまで来たら何を言いたいかわかるかと思います。ちゃんと全部を通して考えましょう。
 

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(もう昔すぎて覚えてません。罠適当)
 
 
んで、今回のことを念頭において作ったのが、新作の「レンタル探偵は探偵に向いていない」になります(ステマ)
 
今回、ありがたいことに感想をいただきました。感想を見る限りは、斬新なだけで話がつまらないということはなさそうだったので一安心です。まあ、まだまだこれからですが。
 
 
ちょっと話が散らかってきたので、最後にまとめ。
 
ひらめきは、あなたの専売特許ではありません。割と斬新なだけの設定だけなら、誰でも思いつきます。でもそれが作品にならないのは、ただ斬新なだけでそこに面白いストーリーを組み込めてないからです。ちゃんと入口から出口まできっちり作りましょう。通路をおざなりにしたらダメ。
 
要するに読者のことを考えましょうって話です。エンタメ方面を書くなら特に。僕も今後気をつけます。