カクヨム作品レビューその1「原点回帰ソリティア」、「ノスタルジック・パトロール」
さてさて始まりました。いつまで続くかわからないカクヨム作品レビュー。
今回は過去に☆を付けた二つをご紹介したいと思います。
誓約的な、理念的なものは下のリンクからどうぞ。
カクヨムの読み専始めました - 初瀬明生の創作部屋~Making Story~
それでは初めていきたいと思います。
【タイトル】 原点回帰ソリティア
【キャッチコピー】おかえりなさい、おにいちゃん
【ジャンル】 ホラー
まずキャッチコピーになんだろうと思い、一見すると言葉が繋がっただけのように思えるタイトルが目に付く。
ソリティアとは「一人遊び」のこと。PCのトランプのゲームを思い浮かべればたぶんわかると思います。
さて、それを知った上で本文を見てみます。
文章は水準以上だと思われる。非常に読みやすいし、ホラーの恐怖シーンもちゃんと描けています。
中身を簡単に説明すると、霊が見える体質である主人公が、その体質故騒動に巻き込まれるというもの。まず最初の相手は、妖怪ファンや、ぬ~べ~を見ていた人ならお馴染みのあの妖怪だ。それを知人の手を借りて退治(浄化)していく。
まあここまで見れば普通のホラーでしょう。
ただ主人公が幽霊を除霊していく、やっつけるというような普通の内容なら僕はここに紹介していません。この作品はそれだけじゃない。
とりあえず第十七夜まで読もう。一話当たり3000~6000字あたりなのでさくっと読めると思います。
そこまで読めば、上記にあることもわかるかと思います。あまり言ってしまうのはよろしくない。
【タイトル】 ノスタルジック・パトロール ~社畜として擦り切れた俺にも、少年だったあのころの青は取り戻せるだろうか~
【キャッチコピー】社畜のみなさん、あのころの夏休みを、まだ、覚えていますか?
【ジャンル】 現代ドラマ
タイトルは最近のラノベっぽい長いものだけど、中身はそんなことはない。現実です。紛れもない現代ドラマです。
カクヨムでまさかこういったちゃんとした現代ドラマが読めるのかと思いました。
半分私小説? と思うくらいの身につまされる社畜の内情がありありと前半部分で書かれています。もうどれくらい描写するんだよと。前半部分の友人とのじゃらけ合いはどこに行ったんだよと思うくらい綿密に描写されている。本当にいそうなくそ先輩上司、早く終わらせるとさらに増える仕事。そして変わらない給料。
逃げ出したくなるような現実感漂う本文は、主人公がふと訪れたバーから変わってくる。そこには失恋をした女性客、変わった風構えの店の女性オーナー。そこで話が弾み、主人公の趣味であるノスタルジック・パトロール、簡単にいえば田舎町探訪に誘うことで二章目へとつながる。
二章目「ノスタルジック・パトロール」は、前半のそれとは打って変わってきらやかな描写が増えていきます。生き生きとした、社会から少し離れたわくわく探訪が、その風景描写によって表れます。
まさにスイカに塩、もうちょっと写実的に言えば、前半の暗い描写がコントラストとなって、より一層この旅が生き生きと伝わってくる。こんな旅を、こんな女性とできるなんてまあ羨ましい。女性のキャラがいいと思う。もちろん男性側も。
作品はもちろん、社会人が対象でしょうね。そういった人たちはもちろん、学生にも読んでほしい。こんなに社会人は辛いんだよって、わかってほしい。
今回はここまでです。一回の記事で一つ、二つくらいは紹介していきたいと思います。次回はたぶんミステリー。そこを掘っていきたいと思います。