初瀬明生と小説とKDPと

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ミステリーというジャンルについて

みなさんはミステリー小説と聞けば何を思い浮かべるでしょうか?

密室? 館もの? 探偵? 刑事?

そしてもちろん小説家の名前も一人や二人も出てくると思います。

僕が昔からずっと読んで、影響を受けている作家をあげるとすれば、迷い無く「宮部みゆき」を挙げます。

僕の作品は、「宮部みゆき」の影響を受けているのか、日常の中のミステリーというものを多く書きます。刑事や探偵ではなく、事件の大小はありますが、日常の一般人が探偵役になるものです。

その中の一つ「赤の軌跡」にこんなレビューがありました。

赤の軌跡表紙

赤の軌跡

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読めばちゃんと楽しく読める水準だけど、設定もキャラも展開も取り立ててオリジナリティに欠けるのがちょっとキツイ。作者は間違いなく力のある人で、これを読んで他も読みたいと思ったけど、この作品自体はすごく普通です。無印良品的な良さはあるけど、小説は工業製品や必需品とは違うので、突き抜けたものが欲しかった。

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評価をいただいたのは嬉しいのですが、引っ掛かったのは作品自体が普通といったところでした。

結構人間描写や関係の複雑さを考えて作っただけに、その物語を普通と言われて少しショックでした。文章が下手とかなら改善の余地はあるのですが、そこは評価をいただいて、物語が普通と言われて自分はどうすればいいのかわからなくなったのです。

しかしすぐに、このレビュワーさんが言ったのはこういうことではないかと思い直し始めました。

ミステリーと銘打っているから読んでみたら、ちょっと推理要素がある日常ものだったから期待外れだった。

そう考えることができました。もちろん実際物語が普通だったなと感じたいうことも充分に考えられます。

ミステリー小説と聞いて、読者が何を思い浮かべるかというのは考えていませんでした。宮部みゆきは大人気作家ですが、ミステリー小説家として名前があがるのは、あまりないような気がします(あくまで僕の個人的な意見です)。

たとえば好きな推理作家をあげろと言われてよく聞くのは、綾辻行人島田荘司鮎川哲也法月綸太郎あたりでしょうか。

宮部みゆきは、日常のミステリーが多いです。もちろん他のジャンルも多数有りますが、僕が好んでいたのはその辺りでした。

ミステリーというジャンルに期待するものは、館ものとか、密室とか。一般人が探偵であったとしても、殺人が起き、そして不可解な現場、そして斬新なトリックが出てくることではないでしょうか。

これらが「赤の軌跡」では、ほぼ満たされていません。読み物としてはいいのかもしれませんが、ミステリーと聞くと首をかしげるのも納得はいきます。あくまで人間関係などが物語の中心なので、トリックは本当に少ししか出てきません。もうちょっと工夫すれば、上記のものを満たせずともミステリーとして納得のいく作品になったかなと思います。あとは斬新な設定とか。

宮部みゆき」に影響を受けてこういうのを書くのもいいかもしれませんが、それはネームバリューがあって初めて成り立つのかなと思います。あとは実力ですね、はい。

マイナーな作家は名前では無く、ジャンルで選ばれるということをもっと念頭に置けばよかったかなあと反省。

といっても次回作もこんな感じのやつですが、その先は、もうちょっとがっつりとした「寵愛の館」みたいな方向でミステリーを書いてみたいと思いました。