初瀬明生の創作部屋~Making Story~

電子書籍ストアに自作の本を出しているセルパブ作家が、その小説に関することや、何気ない日記を載せるブログです

KDP本をレビューしてみた 「悪兄!!」

まずはこの作品の概要を説明しましょう。


悪兄!!悪兄!!
(2013/08/21)
砂鐘大河

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内容紹介

親に捨てられ、施設で育った燕は、突然兄と名乗る龍之介に引き取られる。

しかし、その兄龍之介は、町の悪党――ヤクザだった。

頭も性格も悪く、無鉄砲な兄龍之介に振り回される妹燕。だけどちょっぴり人情も。

兄妹愛に泣けると言われるお話です。

燕(つばめ)は、ずっと存在自体を知らなかった兄である龍之介(りゅうのすけ)と共に暮らすことになるのですが、そこにさらに仲間がくる。もちろんやーさん関係。

龍之介はヤクザの中でも地位が高いらしく、その仲間というのは、子分とお目付役のような人(奏太郞)。その人たちとも、日々を暮らしていくことになっていく。あと犬一匹。

物語自体は、たまに見るような設定。さすがにピンポイントに似たものはありませんが、常識人の主人公と型破りな同居人が一つ屋根の下で暮らす。

そして常識人である主人公の葛藤。そこから生まれる苦しみ。そして全く異なる環境に身を置いてしまったことで起きてしまう災難。それらが物語の主軸。

さて、次に本文の方を見ていきますが、この作品では少し特殊なガジェットがあります。とはいっても少しだけですが。

そのガジェットの一つに、章の終わり方があります。

最初、その章の終わりに目をとめてしまいましたが、それは慣れてしまえば問題ありませんでした。それに二三ぐらいでしたし、そこまで気にならなかった。

こういう既存の方法から外れた書き方っていうのは各々の意見はあるかもしれない。だけど僕は、近年のラノベみたいに見られる、文字が一ページにのたうち回っているとか、そういうトンでも以外は許容できます。言葉の独特な書き方なんかも、大事なのはその作品で統一されているかどうかです。

それと同じで視点が移り変わりが多いことだけに、条件反射で文句を言う人はいる。でも、ある程度読みやすかったらそれでいいのでは? と僕は思う。

だけどこの作品では、この人の視点か、と気づくのに時間が掛かったのが何個かあるのが気になりました。

印象に残るのは最後あたりにあるアクションシーン。こちらも書き方が独特でした。緊迫感は表しているけど、人によっては評価が分かれるかも。

総評

全体的に見て、キャラがすごく立っている。こういうのが好きなのかなってぐらいちゃんとそれぞれのキャラが他の邪魔をせずにいい面を持っていました。

特に表題となっている兄龍之介のキャラがよかった。ところどころに龍之介の過去話が出てくるんだけど、それも相まって彼の不器用さが際立っていた。鉄道員(ぽっぽや)じゃないけど、その不器用から人情とかが伝わってくるのはもはや定番。

人間描写は本当によかったです。基本的には誰かの一人称で物語は進むのですが、その視点の主の心に抱えたものとか、それを持つきっかけとなったルーツとかが丁寧に描写されていて、感情移入しやすい。

話の流れとしては先ほど言った、章ごとに誰の視点なのか一瞬わからなくなることがあること。(全部ではない。普通にわかるものもあります)

あとはコメディと、シリアスの落差がちょっと大きいかなと思った。もうちょっと自然にシフトできたらもっと物語として読めると思います。

気になったのはそのくらいで、人情物とか、人間ドラマが好きな人には読んでいただきたい。途中ガジェット云々とか言いましたが、それはよほど小説とはこうあるべきだと考える人以外には別に大したものでもない。もしそれが気になっても、そういうもんだと割り切って見てもらえればいいと思う。物語自体は、一冊の本として充分に見応えがありました。

余談ですが、

第二話、秦太郎の視点である対比が出てくるのですが、それが好き。これは作者さんや読んだ方にわかってもらえればいいです。

〈レビュー完。あとは雑記〉

元々砂鐘さんとは交流がありましたが、だからこの作品を最初にレビューしようとしたわけではないということではありません。

僕は恩返しでレビューを返すというのは基本的にしません。レビューされたのをきっかけに、関わったのをきっかけにその人の作品を読んで、それが面白いからレビューをしようと思うのはもちろんあります。

今回はそういったものです。そのため、「○○を買ったよ!」という宣言は基本的にしません。できません。

もちろんプライベートもあるので、面白い作品全部をレビューは無理です。これからもマイペースで行きます。