初瀬明生の創作部屋~Making Story~

電子書籍ストアに自作の本を出しているセルパブ作家が、その小説に関することや、何気ない日記を載せるブログです

KDP作家版 深夜の執筆60分一本勝負

試食恐怖症

試食というのは、自由という衣を被った強制的な力を働かせる恐ろしいものだ。そんな風に試食について悪印象を抱いたのは、高校の時の出来事にある。 高校の修学旅行で京都に行き、お土産屋さんの店が並んでいる通りを歩いていた時のことだ。ある店の人から声…

男心と夏の空

心とは不定形である。 日によって変わることもあるし、人の言動によって揺れ動くことは誰にも覚えがあることだ。 中には「向上心のないものは馬鹿だ」と言われて自殺をしてしまう人もいる。これだけを抜き取れば、どうして? と思うかも知れないが、この著作…

害になった人

私の名前はつちよしはじめ。今日は気分を変えるため、帽子屋に行って帽子を買うことにした。 「お客様、こちらのベレー帽はいかがでしょうか?」 店員に勧められたベレー帽。なるほど実に素晴らしい。被って鏡を見てみると、やはり四十の私に藍色はよく合う…

年には勝てぬ

年には勝てぬというのは、どうやらことわざらしい。ことわざらしくはないけど、ちゃんとことわざ辞典に載っていた。 意味はそのままで 「年を取ると、気力はあっても身体が言うことを聞かない。健康や体力が気力に伴(ともな)わない」というもの。 このこと…

「十人十色」

十人十色という言葉があるけど、本当にその通りだと思う。 道行く人には、赤い人もいたり、緑の人もいたりする。たまに白い人もいる。 一応断っておくけど、これはオーラの話じゃない。僕は本当に人が、その色に見えるのだ。他の人間が全員、単色に染まった…

K点超えを目指す会社員

K点とは、スキージャンプの基準点のことである。赤い線があり、そこを超えれば点数が加算されるため、今となっては点数を決める際の基準となっている。 ところが、元々は極限点、いわゆる限界を表した場所だったのだ。しかし年々高い技術が生まれていき、飛…

扁平足の祖父

扁平足という病気がある。扁平足とは、土踏まずがない状態の足のことである。それだけ聞けばそれがどうしたという病気だが、形状が悪い影響で神経などを圧迫し、痛みが発生する場合がある。あくまで扁平足とはその形状のことを指す場合がほとんどだが、それ…

蠢く刃

「近くで人が死んでいるらしいぞ」 春の暖かな陽光の中、そんな声が聞こえてくる。自宅アパートの窓から道路を見下ろすと、向こうの公園に人が流れて、その入り口に吹きだまりのように野次馬が集まってまっていた。

KDP作家版 深夜の執筆60分一本勝負 「薄暗い行燈に映る」

江戸時代には、油問屋(あぶらどいや)という問屋があった。当時、民家の明かりの主流だった行燈(あんどん)の燃料となる油を売るところである。 彼らは油を壺に入れ、壺の口を紐で縛って棒に吊す。そして二つの壺が両端についたその棒を肩に担ぎ、家々を回…

「KDP作家版 深夜の執筆60分一本勝負」について

twitterにてタイトルの企画が行われているのですが、それでブログを使っています。 通常はtwitterを介したこと前提の企画のため、ブログだけ見てる方は何なのかわからないという人もいるかもしれません。その人たち用に説明だけさせていただきます。 企画の…

KDP作家版 深夜の執筆60分一本勝負 「はじめてセミナー」

「ええー今回はこの『はじめてセミナー』に来ていただき誠にありがとうございます」 生徒の大半はいないであろう大学の放課後の講義室。そんなところでセミナーはひっそりと開催された。 講義室はすり鉢状になっており、黒板のある教壇に行くに従って下がっ…